長い年月をかけて計画し、ようやく手に入れた憧れの新築マイホームでの生活が始まってまだ一週間も経たないある夜のこと、私はキッチンの片付けを終えて明かりを消そうとした瞬間に、その忌まわしい影を見てしまいました。フローリングの隅をカサカサと素早く走り抜け、冷蔵庫の下へと消えていったのは、紛れもなく中型のクロゴキブリでした。その瞬間、私の頭の中はパニックと怒りと悲しみでいっぱいになり、新築なのだから清潔なはずだという根拠のない自信は脆くも崩れ去りました。どうして一億円近いローンを組んで建てたばかりのこの家に、あんな不潔な生き物がいるのか、住宅メーカーの施工に不備があったのではないか、あるいは自分の掃除が足りなかったのかと、自責の念と不信感が入り混じった複雑な感情が押し寄せました。その夜は怖くて眠ることができず、暗闇のどこからか再び奴が現れるのではないかと怯えながら、スマートフォンのライトを手に家中を照らし回りました。よく観察してみると、キッチンのシンク下の排水管が床に入る部分に、指が一本入るほどのわずかな隙間があるのを発見しました。新築の引き渡し時には完璧だと思っていた我が家にも、虫にとっては広大な入り口が用意されていたのです。さらに、引っ越しの時にスーパーからもらってきた古い段ボールをパントリーの隅に積み上げていたことも、今思えば大きな間違いでした。翌朝、私は住宅メーカーの担当者に連絡し、半ば取り乱しながら状況を伝えましたが、担当者は冷静に「新築でも外からの侵入は避けられません」と答え、それがかえって私の心を冷やしました。結局、その日のうちにホームセンターへ走り、隙間テープや配管パテ、そして強力な毒餌剤を大量に買い込み、家中を戦場のような要塞へと変えていきました。あの遭遇から一ヶ月が経ち、徹底した侵入防止策と衛生管理のおかげで姿を見ることはなくなりましたが、今でも夜にキッチンへ行くときは、まず電気をパッとつけて影がないか確認する習慣が抜けていません。新築という言葉に甘えて、彼らの生命力を甘く見ていた自分を反省し、今は「この家は私が守る」という強い決意のもと、毎日の掃除と点検を欠かさないようにしています。夢のマイホームは、ただ建てれば手に入るものではなく、住む人の不断の努力によって維持される聖域なのだと、あの一匹のゴキブリが教えてくれたような気がします。
憧れの新築マイホームでゴキブリに遭遇した日