日本の夏は高温多湿でありゴキブリにとってこれ以上ない産卵のピークシーズンを迎えますがこの時期の彼らの産卵行動は非常に攻撃的かつ迅速であり住宅内での個体数密度を一気に跳ね上げる原因となります。七月から八月にかけての夜間キッチンの照明を消した後の暗闇の中でメスのゴキブリは栄養を求めて活発に徘徊し水分と餌を十分に確保した瞬間に産卵のスイッチが入ります。この時期の産卵タイミングは一年の中で最も短縮されわずか十日ほどのスパンで次々と卵鞘が産み落とされることも珍しくなくこれが夏場に一度ゴキブリを見ると次から次へと現れるように感じる理由の正体です。特に夏休みなどで長期不在にする家などは換気が行われず湿度が上昇するためゴキブリにとっては天敵のいない自由な産卵場へと変貌してしまい帰宅したときには幼虫が大量発生していたという悲劇がよく起こります。夏場の対策として重要なのは外出時であっても除湿機を稼働させたり換気口を適切に管理したりして室内の空気を停滞させないことであり産卵に適した湿気を取り除くことが何よりの抑止力になります。またこの時期は生ゴミの腐敗が進みやすくその強烈な匂いが遠くにいるゴキブリまで呼び寄せて産卵場所としてのランクを上げてしまうためゴミの管理を冬場以上に厳格に行う必要があります。夏場のゴキブリは代謝が高まっているため毒餌剤への反応も良くなりますがそれと同時に産卵のスピードも速いため毒を食べる前に卵を産み落としてしまう個体も存在します。そのため夏場は目に見える個体を倒すだけでなくその個体が潜んでいた周辺をアルコールや洗剤で徹底的に除菌し産み落とされたばかりの卵鞘を洗い流すイメージでの掃除が不可欠となります。暑さという追い風を受けた彼らの繁殖能力に立ち向かうには私たちもまた季節に合わせた特別な警戒体制を敷く必要があり夏という季節を彼らに明け渡さないための執拗なまでの清潔維持が求められます。一夏の油断が秋から冬にかけての長期的な居着きを招くことになるため繁殖のピークである今この瞬間に徹底的な対策を講じることが翌年以降の平和を守るための分岐点となるのです。
繁殖のピークとなる夏場の産卵行動