梅雨の晴れ間に差し込む強い光が庭の草木を輝かせるようになるとどこからともなく重低音の羽音を響かせながら黒い影が芝生の上を横切るようになり今年も土蜂たちが活動の季節を迎えたことを知らせてくれます。彼らの姿は夏の訪れを告げる風物詩のようなものであり漆黒の体に反射する日光が時折青白く輝く様子は昆虫が持つ機能美の極致と言っても過言ではなくその力強い飛翔姿には見惚れてしまうほどの迫力があります。土蜂は他の蜂のように花の蜜を求めて飛び回ることもありますがその真骨頂はやはり地面すれすれを低空飛行しながら獲物を探り当てるハンティングの瞬間であり時折地面に降り立って触角を激しく動かす仕草は地中の気配に集中している様子が伝わってきて観察者を飽きさせません。庭に土蜂が現れるとついその見た目の威圧感に身を引いてしまいますが彼らの多くは自分の仕事に夢中で人間にちょっかいを出すような暇はなくその一途な姿にはある種の愛嬌すら感じることがあります。彼らが穴を掘り地中の幼虫に卵を産み付けるという壮絶なドラマが私たちの足元で静かに繰り広げられていると思うと庭という場所が単なる人間の憩いの場ではなく無数の命がせめぎ合う舞台であることを強く意識させられます。最近では庭を無菌状態のように完璧に管理しようとする傾向がありますが土蜂のような生き物が自由に活動できる隙間がある庭こそが本当の意味で豊かな環境であると言えるのではないでしょうか。黒い土蜂が飛び交う庭は一見すると物騒に見えるかもしれませんがそれは農薬に頼らずとも害虫の発生が抑えられている健全な場所であることの証左であり彼らの羽音は庭の健康を祝うオーケストラのようにも聞こえてきます。夕暮れ時になると彼らは活動を終えどこか静かな場所へと帰っていきますがまた翌朝には同じ場所で淡々と作業を再開するその規則正しい生活習慣にはある種の尊敬の念すら覚えます。土蜂がいる風景を大切にすることはそこに広がる生態系全体を慈しむことであり初夏の光の中で黒い翅を輝かせて飛ぶ彼らの姿は私たちに自然の力強さと優しさを同時に教えてくれている気がします。今年も庭の主役として土蜂たちが元気に飛び回る姿を眺めながら私は彼らが地中の平和を守ってくれていることに感謝しつつ夏の始まりを楽しんでいます。
初夏の庭を彩る黒い土蜂の姿