賃貸物件で蜂の巣を発見し、マニュアル通りに管理会社や大家さんに連絡した。しかし、「それは入居者さんの方で対応してください」「もう少し様子を見てください」といった、信じられないような返答が返ってきて、全く対応してもらえない。そんな絶望的な状況に陥ってしまった場合、一体どうすれば良いのでしょうか。泣き寝入りするしかないのでしょうか。いいえ、諦める必要はありません。入居者として、自らの権利と安全を守るための、いくつかの正当な対抗策が存在します。まず、第一のステップとして、再度、管理会社や大家さんに対して、より強く、そして具体的に要請を行うことです。その際、単に「蜂の巣があって怖い」と伝えるだけでなく、「蜂の巣の存在は、賃貸人が負うべき修繕義務の範囲であり、入居者の安全な生活を脅かす契約上の不履行にあたる可能性がある」という、法的な根拠を少し匂わせながら、書面(メールや内容証明郵便など)で、対応を求めるのが有効です。いつ、誰が、どのような内容の要請を受け取ったのかを、証拠として残すことが重要です。それでもなお、誠実な対応が見られない場合は、次のステップに進みます。それは、地域の「消費生活センター」や「国民生活センター」といった、公的な相談窓口に助けを求めることです。これらの機関では、専門の相談員が、賃貸借契約に関するトラブルについて、無料でアドバイスをしてくれます。過去の判例や法律に基づいた具体的な対処法を教えてくれたり、場合によっては、業者に代わって貸主側と交渉(あっせん)してくれたりすることもあります。第三者である公的機関が間に入ることで、これまで動かなかった管理会社が、重い腰を上げるケースは少なくありません。最終手段としては、やむを得ず、まず自分で費用を立て替えて専門業者に駆除を依頼し、その費用を後から貸主側に請求するという方法も考えられます。ただし、この場合は、後々のトラブルを避けるためにも、事前に「何度要請しても対応していただけないので、こちらで駆除を手配し、費用は後日請求します」という旨を、内容証明郵便などで通告しておくことが賢明です。あなたの安全を守る権利は、法律によって保障されています。決して一人で抱え込まず、適切な窓口に相談する勇気を持ってください。
管理会社が対応してくれない時の対処法