去年の夏、私は生まれて初めて蜂の巣の駆除に挑戦しました。場所は二階のベランダの軒下。最初は気づかなかったのですが、ある朝、洗濯物を干していると数匹のアシナガバチが飛び回っているのに気づき、見上げるとそこには直径十センチほどの巣ができていたのです。専門業者に頼むことも考えましたが、まだ巣が小さいことと、手軽な駆除スプレーの存在を知っていたことから、自分でやってみようと決意しました。まずは情報収集です。インターネットで駆除方法を徹底的に調べ、作業は日没後に行うこと、風上から噴射すること、そして何より服装が重要であることを学びました。決行の夜、私は完全防備でベランダに出ました。白い雨合羽を着込み、フードを深くかぶり、ゴム手袋に長靴、顔にはゴーグルとマスクという、我ながら完璧な出で立ちです。心臓はドクドクと鳴り、手に持った蜂用スプレーがやけに重く感じられました。深呼吸を一つして、巣から三メートルほど離れた位置に立ち、風向きを確認。幸いにも風はほとんどありませんでした。覚悟を決め、スプレーのトリガーを力一杯引きました。強力なジェット噴射が「シューッ」という音を立てて、一直線に巣に命中します。薬剤がかかった蜂が、次々と巣からボトボトと落ちていくのが見えました。ネットで学んだ通り、ここで攻撃を緩めてはいけないと、スプレー缶が空になる勢いで三十秒以上噴射し続けました。やがて、巣の周りから羽音が完全に消え、静寂が訪れました。緊張から解放され、どっと汗が噴き出しました。翌朝、長い棒で巣を落とし、死骸と共にビニール袋に入れて処理を完了。戻り蜂が数匹飛んでいましたが、巣がないことを確認するとどこかへ飛んでいきました。正直、生きた心地がしませんでしたが、正しい知識と準備があれば、小さな巣なら自分でも対処できるのだと実感した出来事です。しかし、もしあれがスズメバチの巣であったり、もっと大きな巣であったりしたら、絶対に挑戦しなかったでしょう。自分の手に負える範囲を見極めることの大切さも、同時に学んだ貴重な体験でした。
私が蜂の巣駆除スプレーに挑んだ日!その一部始終